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2016年6月1日

歯列矯正と顎の痛み

Filed under: 咬み合わせ・顎関節症 — Michiya Fujimaki

歯列矯正と顎の痛み

《歯列矯正顎の痛みのお話です。全ての矯正患者様に、症状が出るわけではありません。》

 

同じ時期に30代と40代の女性が、矯正後の顎関節の痛みと咬合不全(噛む位置がわからない)を訴え、来院されました。

お二人とも綺麗な歯並びをしており、一見して問題は見られませんでした。他科を受診して、異常なしと診断され、お困りのようでした。

 

それでは、30代女性の患者様の例をあげ、診断から治療をお話しします。

 

初診時にお話を伺ったところ、「矯正治療を3年半行い、終了後1年を経過した頃から、右のアゴが食事中に痛み、コキコキ音がする」とのこと。

症状として;右の顎関節が痛み出して、半年間痛みがあり、口が開きにい(開口障害)。

開口量は27mm(正常値40〜60mm)。

痛み75%VAS:Visual Analog Scale 痛みの評価:伝えにくい痛みを数値化する)

 

VAS:Visual Analog Scale

開口量からも、顎関節内(関節円板の位置異常)に障害が出ているケースでした。

 

1、診断資料採取

咬合診断(確認かみ合わせの診断・アゴの関節との調和を診る)

上下のかみ合わせの模型を作成

フェースボウトランスファー(歯列と顎関節の関係を記録)

中心位(アゴ関節がリラックスした状態)

咀嚼筋触診(咬筋・側頭筋・顎二腹筋・胸鎖乳突筋の痛みを診る)

 

2、かみ合わせの分析

右の側切歯・犬歯・第一小臼歯の早期接触が認められる。(奥歯を噛むためには、噛みしめなければならない状態。)

 

3、筋触診

咬筋深部・側頭筋(前中後)に痛み+

 

【診断結果】

側切歯・犬歯・第一小臼歯の早期接触によって、奥歯を噛みしめようとして強い力を生じ、関節を痛めていると考えました。

早期接触の原因歯

治療として、

TCH是正指導(歯を接触しないようにする)を最初に行い、

②かみ合わせの調整(咬合調整)、せっかく矯正した歯なので、慎重に数マイクロづつ調整。

③診査 開口量・筋触診・VAS(VAS:Visual Analog Scale)

 

②と③を2回繰り返した結果、

治療後は必ず、TCHの是正と収縮した筋肉のストレッチ(痛みのない範囲で)を心がけてもらい、

3ヶ月で開口量40mm・ 筋肉の痛み無し、まで回復しました。

今では何事もなかったように、普通に食事をされているようです。

 

冒頭に述べたように、全ての患者様が顎関節症になるわけではありません。

歯の硬さ関節の丈夫さかみ合わせの悪さTCH緊張の連続など、複合的な要素があります。

 

お二人の患者様は、「(かみ合わせが悪い個所を避ける反射が筋肉に記憶される)筋記憶(muscle engram」と「TCH(歯牙接触癖)」・「食いしばり(クレンチング)」の複合的な症状でした。

 

Jeffrey P. Okeson. ;Management of Temporomandibular Disorders and Occlusion p37

Jeffrey P. Okeson. ;Management of Temporomandibular Disorders and Occlusion p37.

 

「(歯の接触にも、熱い物を手で触った時に反射で離す行動と同じ)かみ合わせが悪い個所を避ける反射」が、筋肉の痛みを発症させたと思われます。

 

矯正に限らず、歯科治療の後にかみ合わせ関節の異和感を感じた場合、我慢せずに検査してください。

咀嚼筋は歯が接触しなければ収縮しません。TCH(歯牙接触癖)も意識してみましょう!

強い力で食いしばるより、弱い力で歯を長く接触させる方が、悪影響が強いことがわかっています。

 

詳しくは、下にあげた関連記事も読んでください。

 

◆顎関節痛の豆知識(痛みと性差)◆

 顎顔面部の慢性疼痛の発症率は、男性より女性の方が多い(1:3)

 

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